恋する乙女

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「忍ー!トイレでアイス食べるのやめなさーい!!」 カップの底に残る溶けかけたバニラをスプーンですくい口へと運ぶ。 しばらく口いっぱいに広がる甘い香りを楽しむと、忍は空になったカップを片手にトイレを出た。 母親はリビングでミシンをしていた。 「なんでわかったの?」 「忍の後にトイレ入ると甘い香りがするのよ。」 「消臭剤代わりになってたんだ。へぇー。そりゃめでたい。」 いつものように冗談で言った忍に対し、今日はやけにきつい眼差しで母親は忍を睨んだ。 「いいかげんにしなさいっ!!」 「だって」 「だってじゃないの!あんたいくつよ!?17でしょ!?年頃の女の子がよくもまぁトイレで物を食べるわ。」 母親は呆れ顔で最後の方は力無く言った。 ツンと拗ねた表情のまま忍も反論する。 「あのねー、女子高生ってゆうのはキャピキャピしてるだけが仕事じゃないの!お母さんみたいに煎餅バリボリしながら昼ドラの男優に時めいているほど暇じゃなーいの!」 最後にフンと鼻を鳴らした。
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