狂い始めた歯車

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それからの忍は少し変だった。 春休みだというのに、学校がないというのに、そんな日は夜更かしして翌日の昼過ぎまで寝ているはずの忍が、部屋の出窓に座り早朝の空を見つめている。 すずめが窓の向こう側で鳴いているのを耳にするだけで、鳥肌がたつぐらい春の朝はまだ寒かった。 それだけならまだいい。 部活も委員会もない忍は、春休み中、特に学校に行く予定はないはずだ。 しかし、朝食を済ませ八時半頃になると途端にソワソワし出し、意味もなくクリーニングに出したばかりの制服に着替え始めるのだ。 「もう。また制服着て……。制服を私服にするのはやめなさい。クリーニング出したばっかりなのよ。」 そう母親に注意されても上の空で、結局夕方までその格好で過ごしている。 その間、何度も玄関に行きローファーに足を伸ばしては引っ込めて伸ばしては引っ込めてを繰り返していた。
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