狂い始めた歯車

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あれほどまでに通いつめていた放課後の準備室。 理由がなくてもやたら出入りを繰り返してきた。 ――なのに。 行く理由があるようで、でもないようで、この葛藤の中で生まれる新たな疑問。 あたし、何がしたいんだろう? 忍は冷たい水で顔をバシャバシャと洗った。 顔をタオルで覆いながら必死で学校に行く理由を探していた。 しかし嘘をついても簡単に見破ってしまうのが河谷だ。 まして忍は単純な性格の上に演技ができないため、恐ろしく嘘が下手だった。 大量に出された宿題も手につかず、気付くとまた玄関にいて――。 泣きたい気分だった。
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