狂い始めた歯車

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忍は駅までの道を走り出した。 しっかりと紙を握りしめたまま夢中で走った。 河谷のことだから、もうとっくに荷物の整理は終わっているかもしれない。 もしかしたら……、もう学校から撤収してしまったかもしれない。 そんな不安が一気に押し寄せてきた。 忍はさらに速度を上げた。 先生のバカ! 一言言ってくれたっていいじゃん。 他の生徒に言わなくても、あたしには教えてくれたっていいじゃん。 あたしは学校の生徒の中で一番先生のことよく知ってるよ。 そうでしょ?先生。 それともそれはあたしの勘違いですか? 本当はあたしの勘違いで、先生の中であたしはみんなと同じ教え子の中の一人だったの? あたしは――…… 先生の中で自分が少しだけ特別な存在だと思っていました。 忍は切れた息をゼイゼイと整えながら電車の中でとても苦しくなった。 まだ降りる駅までは5駅もあるのに座りもせず、開く扉の前でスタンバイしていた。 終業式から何日も経っていないのに、その期間が夏休みのように長く感じるほど、もどかしかった。 ――先生に、会いたい。
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