狂い始めた歯車

27/28
前へ
/344ページ
次へ
翌朝だった。 「……ない。」 忍はパソコンのスクリーンに鼻をくっつけた。 「なんで?……なんでないの?」 忍は何度もマウスをクリックした。 4月1日、忍の通う学校は転勤になった教員の名前をホームページに載せる習慣があった。 覚悟を決めて臨んだ忍は、そこに河谷の名前がないのを見て大混乱していた。 おかしい! そんなはずない! 書き忘れてんだ! 忍がオロオロしながら部屋中を歩き回った。 そこへ携帯に一本の電話。 「も、もしもし?」 「あ、忍?亜紀だけど……」 「亜紀ちゃん!?ねぇねぇ、大変なの!今ホームページが見たら間違ってて……っ!」 「あー、それね……。河谷の名前がないってことでしょ?」 「そう!」 受話器の向こう側から亜紀のばつの悪そうなため息を聞いた。 「あれね、河谷が転勤するって話、……あたしの勘違いだったみたい。」 ……ほえ? 「今なんと?」 「転勤するのは河谷じゃなくて同じ地歴科の山下先生だったの。」 ふーん。 ……って、 「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1600人が本棚に入れています
本棚に追加