軍師の眼

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加えて、援軍が呂布の千騎。 合わせて三千余りと、孫策十万の兵を相手には心許ない。 それでも孫策本陣は後退し、先に呂布に襲われた陳武隊は士気が悪く、その他の将兵も僅かに弱気になっている。 曹仁は言った。 「ふん、呂布という男は戦に長けている。見よ満寵、孫策が落馬したとの報を聞いて兵達が焦っておるぞ」 「大将、どうやら孫策の負傷は事実のようです」 「ならばこちらも歩兵隊を率いて攻撃に参加しよう!呂布も人だ。あまり無理をさせずに援護してやれ!」 「よし者ども、隊列を組みなおせ!」 隊は攻撃陣を組んだ。 「全軍突撃せよ!この曹仁の武勇、目に物見せてくれようぞ!!」 曹仁、満寵はこの勢いに乗じてたった千人の歩兵隊とともに突撃した。 これに対して、孫策負傷で指揮系統が乱れていた孫堅軍は呂布、曹仁のたった二千の兵士を相手に散々なまでに打ちのめされた。 特に呂布の騎兵隊は比類なき強さを誇り、鉄壁の名で知られる文聘隊を一兵も損失せずに蹴散らした。 「天下無双、呂奉先ここに在り!誰か、この呂布を討ち取ろうと思う者がいれば前に出ろ!」 あまりの威容に兵達は驚き竦みあがった。 この戦は高順の三万の後詰め隊が到着するまでの三日間続いた。 その間、孫策は回復せず、たった二千の兵を相手におよそ十万の孫堅軍は小沛までの撤退を余儀なくしたという。
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