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「御冗談を。今度は付近の住民に兵糧を配ってやるのです。袁術の暴政の爪痕によって喘ぐ町民に施しを行い、まずは大将の徳を見せて民心を更に得ましょう」
「またばらまきか?」
「今は劉備からの支援でここの兵糧は第一に潤っている筈。寧ろ、腐らせはしないかと心配する程です」
「にもかかわらず、孟徳殿からは兵糧の催促がなかった」
「おそらく、このような事態を想定されてのことでしょう」
「……」
「古いものから順に配ってやれば我が軍の兵糧は問題なく消費もできましょう」
そういうと、曹仁は腕組みをして苦笑いをした。
「孟徳殿も、もう少し事細かく説明をしてくれればいいのだが……」
「大将が細かい事をお嫌いになっているからでしょう」
そういうと曹仁は笑って、
「こやつめ」
そういいながら、満寵の肩をかるく小突いた。
満寵の策はその日のうちに実行命令が下った。
その月のうちに民から曹仁の人望を讃えられ、人徳将軍だの、武仁将軍だの様々な敬称がついた。
徴兵の数だって数え切れぬほどまで増えた。
山賊に身を置いていた諸侯の兵や、職のない若者が次から次に入ってきた。
士気旺盛、その数は五万、十万と増えていった。
下ヒ、小沛の出の者もいた。
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