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孫策は瞠目し、すぐに援軍に向かおうとしたが、ふと思うところがあった。
この状況下、もしかしたら曹仁はあえて自らを囮として下ヒを攻めさせたのか。
であれば、彭城付近の伏兵の気配は偽のもので当然彭城の守りも緩い筈。
加えて、補給路となっているであろう彭城に今攻め込めば、確実に勝てるのではないかと。
そう考えた孫策は下ヒの部隊へこの小沛まで撤退するよう伝令を送り、自らは、
「全軍前進、曹仁を生け捕れ」
自ら先頭に立ち、曹仁の本陣を攻めた。
「偽の伏兵が看破された。このまま攻め潰すつもりか」
曹仁が実際に操るのはおよそ千程度の歩兵部隊。
向こうは袁術、劉表の元精鋭の兵士とそれらを打ち負かしたこちらも精鋭兵、合わせて十万程である。
加えて、太史慈が援軍に来たので、恐らくもっといる事であろう。
孫策率いる大軍は隊列を維持しながらゆっくりと攻めてきた。
前方には強固な盾兵、その後ろに強弓を持った歩兵、そして槍兵が見事な隊を維持しつつ迫ってくる。
それはきっと曹仁の指揮する新兵では到底敵わないであろうし、近づくにつれ怯える様子も見て取れる。
曹仁は陣を棄てて、退却の準備をしようとしていた。
目的は下ヒを攻め落とす事。
そして、兵糧庫の管理、運営である。
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