暗中疑心

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下ヒは攻略したが、兵糧庫はこのままでは奪われてしまう。 その場合、下ヒへの補給もなくなり、せっかく奪い取った下ヒも兵糧不足で楽進達は撤退せざるを得なくなるだろう。 「ううむ……」 撤退の準備はするもののやはり勿体なく思う曹仁であった。 まさか孫策、太史慈がこちらへ主軍を向けてくるとは思いもしなかった。 結果的にみれば向こうの楽進、史渙の二部隊は容易に陥落させたことであろう。 しかし、こちらがここまで窮地に陥ってしまった。 作戦は半分成功、だがこれでは失敗である。 重いため息を吐く曹仁。 撤退準備も視野に入りはじめた。 ところが、吉報は思わぬところからやってきた。 「報告!お喜びください大将!濮陽からの援軍、その先行部隊がやがて到着するとの事です!」 「なんだと?!こんなに早くか?」 この報告に曹仁は胸躍った。 まさか、この十数日で部隊を編制して引き連れてくるなんて。 「それで?数は何人だ?!」 「報告では先行する部隊は千程です!」 曹仁は耳を疑った。 「千?たった千だと?!」 その数の少なさに首を傾げた。 たった千の騎兵で何ができる。 相手はいまや破竹の勢いを持つ孫策の大軍十万だぞ。 そんな数で勝てる訳がないではないか。
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