軍師の眼

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あれほどの相手、天下無双であろう。 やはり手合わせしない手はない。 孫策、太史慈は振り向いて、そのまま呂布を目指した。 一丈を超える得物、方天画戟の刃には常に生温かい血が流れている。 それに対する陳武隊はすこぶる気が荒い連中であったが、呂布の前に出れば、虎に刃向う鼠のようなものであった。 「呂布が出た!呂布が出た!」 彼の指揮する騎兵隊は曹操の誇る精鋭の中でも特別強い部隊であった。 呂布の騎兵隊は陳武の部隊を相手に一日も損なわず、威風を発しながら散々なまでに蹴散らしていく。 「呂布!これ以上の真似は許さんぞ!」 「む?」 呂布は振り向いた。 付近の将兵は一掃した折の事であった。 駈けつけて来たのは一際、勇壮な面持ちをした二人の騎将。 「ほう、多少は使えそうな奴らだ」 「我は孫策、こっちは太史慈だ!」 「なるほど、大将自らこの呂奉先を仕留めに来るとは……気骨があるようだ」 「ならば、勝負!」 孫策、太史慈は二人して呂布に向かった。 「ふはは、それでこそ面白い!」 しかし、この時呂布の精神は葉の水滴に気付くほどに敏感になっていた。 孫策と太史慈の目が合った。 おそらく、同時にかかってくるつもりだ。
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