軍師の眼

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呂布は方天画戟を握り、赤兎馬に鞭打った。 疾い、まるで猫のような素早さだ。 人馬一体、手足のように馬を操り、孫策、太史慈を相手に威儀を放つ。 接触する刹那、孫策は将剣を振り上げた。 「ふん、遅いな!」 呂布は、振り上げた一瞬の隙に孫策のがら空きになった腹を思いっきり蹴落とした。 「ぐおっ!!」 孫策の態勢が崩れた。 そこへ更に方天画戟の横薙ぎが襲う。 孫策は咄嗟に将剣で受けたが、背中から跳ねるように落馬してしまった。 「若君!」 返事がない。 気を失っているようだ。 「くうっ!」 太史慈は慌てて孫策を庇うように呂布の前に出た。 「ふん、ここまで読めていたぞ!」 呂布は待ち構えていたらしく、そこから方天画戟を思いっきり振り下ろした。 「ぐう!!」 太史慈は双戟で受けた。 しかし、辛うじてであった。 衝撃で地面の小石が僅かに浮いた。 それほどの威力であった。 太史慈の顔が衝撃で歪む。 しかし、そこから太史慈は渾身の力で呂布を振り払ったので、呂布は一旦距離を置いた。 その間、太史慈は孫策を拾い、自陣へと戻っていった。 さて、事態は徐々に曹仁が優勢となってきた。 とはいえ、曹仁にあるのはたった千人余りの歩兵と林中にある偽の伏兵千人である。
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