軍師の眼

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「下ヒは奪ってすぐの拠点です。それに陶謙、袁術、孫策、そして我が君と、支配が著しく移り変わっているせいで民は不安を抱いております。下ヒにおいてはまず、一旦曹大将に治安の回復を命じ、どうしてもというならば別の将に小沛、寿春ととらせるべきです」 「小沛と寿春は後回しにしてもいいと言わんばかりだな」 「――というよりも、先に片付けねばならない案件があるのです」 「それはなんだ?」 「ここ許都にも近い汝南。その付近の四拠点についてです」 「うむ。地図を置いて説明を聞こうか」 曹操は大台に地図を広げ、陸遜をそこへ連れてきた。 現在孫策は汝南の付近に四の領地、拠点を持っている。 陸遜が厄介視しているのは夏候惇の駐在している汝南。 そこを囲むように存在する新野、江夏、廬江、そして寿春である。 陸遜は言った。 「この四拠点はいずれも名将智将が配置されており、時間とともに汝南を合力して落としにかかるつもりだと考えられます」 「なるほど、汝南を落とせばこの許都とは目と鼻の先。簡単に形勢は崩れてしまうな」 「今下ヒが落とされ、此方が優勢に見えますが、孫堅軍にとって狙いはあくまで許都、そして我が君なのです」
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