第一章

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走り書きで書いた番号を目で読み返し、間違いがないか確認してからメモ帳を返した。 「ありがとう。あとで登録しておくわ。 それと一つ約束して欲しいんだけど、私から必要な時に応じて貴方へ連絡いれるから、貴方からは絶対に連絡してこないで。」 「え!なんで? 困った時にアドバイスとかしてくれるんじゃないの? 恋愛相談にのってもらえるとばかり思ってたんだけど。」 「何でもよ。いい?絶対よ? 破ったらケチョンケチョンにされると思いなさい。」 黒魔術でボロボロにされている自分の姿が脳内に浮かび、身震いする。 「分かった。約束するよ。」 「素直で宜しい。 じゃあそろそろ時間だし、私は行くわ。この後用事があるの。」 何ていうか、自由人だよなこの人。 でも自己中心的とか、自分本位っていう嫌なイメージには感じないから不思議だ。 用事があるというのに、僕の為に (本来は地味子ちゃんの為らしいが) 時間を割いてくれるなんて、いい人なのかなとまで思っている自分の心境の変化に驚いた。 のだが、 「またね、ワンコくん。 健闘を祈る。」 最後の最後までイヌネタを引っ張っていきやがりましたよ。 畜生。 やっぱりさっきのは撤回します。 僕は彼女のことが好きになれそうにありません。
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