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「その絵、不思議だよね。
なんか引きつけられるっていうか。」
ジーっと彼女の絵を眺めていると、後ろから声がした。
振り返ると赤縁メガネをかけて髪を上の方で一つに括った女子生徒が立っていた。
「...えっと?」
「あら、突然ごめんなさい。
私美術部の部長をしています、篠原 真弓です。」
ニコッと人当たりの良さそうな笑顔を浮かべる部長さん。
直感でこの人は人に好かれる人だと伝わってくるような笑顔だった。
「君はあの噂の飯島恭也くんだよね?」
「えっ?何で俺の名前を?...というか、噂って?」
「奇跡の美少年が一年生にいるっ!って私たち二年の間でも話題になってるよ。」
「それ、まさかとは思いますが...俺のことですか?」
「当たり前じゃない!
君、自覚ないの?」
その問いに苦笑いで返すと、“信じられない”という視線を送ってきたが、とりあえずこの話題にはこれ以上突っ込まないでおこう。
だいたい、周りの連中が大袈裟に騒いでいるだけのこと。
僕は自分の容姿が好きじゃない。
筋肉が付きにくいため、筋トレを頑張っても細身なままな身体。
「綺麗で中性的な顔だね」と言われる女みたいな顔。
僕は渋くてワイルドな男になりたいのに。
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