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教室のドアに手を掛けると、中から女子生徒の声が聞こえてきた。
それはだんだんと大きくなり、聞き覚えのある声だと思ったと同時にガラッと扉が開き、誰かが飛び出してきた。
「わっ!ビックリした!」
ギリギリで衝突するのを避けた。
どうやら僕の運動神経は、まだまだ鈍ってなさそうだ。
「あれ?君は、二年の飯島くんじゃない。
何か雰囲気変わったね!
一瞬誰かと思っちゃった。
どうしたの?美術部になにか用事?」
教室から勢い良く飛び出してきたのは、美術部の部長さんだった。
相変わらず人の良さそうな、ニコニコした笑顔を浮かべている。
「あの、俺...」
「ん?なあに?」
急速に動きを速めた心臓を落ち着かせ、手に握りしめた入部届けを部長さんの目の前へ突き出した。
「二年B組、飯島恭也。
美術部に入部希望です。
よろしくお願いします。」
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