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正式にモデルをすることに決まった直後、篠原部長から今後の流れについて説明を受けた。
「飯島くんには、“夏のアートグランプリ“っていうコンクールに出す絵のモデルをしてもらうから、そのつもりでね。
もちろん目指すは大賞だから!」
「そりゃまた随分大きくでましたね。」
美術のことなんてサッパリな僕にでも、部長の目標がどれだけ無謀に近いことかくらい分かる。
このコンクールで大賞を取るということは、全国の美術学生の中で一番になるということだ。
下は小学生から、上は大学生までと年齢の幅も広い。
またこれをきっかけに、過去数々の絵描き達が有名な画家へと駒を進めている。
つまりこのコンクールは、有名になる為の第一歩でもあり、参加者たちの力の入れようも凄いのだ。
「篠原部長は去年、優秀賞を取ってる実力の持ち主です。
優勝候補にも上がっていますし、大賞を取っても可笑しくありません。」
後ろから聞き慣れた声が響き、ゆっくりと振り返った。
「宮野ちゃん!今日はいつもより遅かったのねー!」
「すみません、部長。
また裏庭で眠ってしまっていました。
教室でうたた寝していたはずなのですが。」
「またーっ?それ夢遊病だよ!
病院行ってきなよー!」
地味子ちゃんが入り口のすぐ横にある木の机に、緑の葉っぱが付いた鞄を置きながらこっちを見た。
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