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そんなことを悶々と頭の中で考えていると、再び副部長さんが口を開いた。
「宮野ちゃんはね、普段は滅多に絵を描かないんだー。」
「美術部なのに、ですか?」
「うん。普段はモデル担当だからねー。
ほら、あの子お人形さんみたいに可愛らしい顔してるじゃない?
うちの顧問がえらく気に入っちゃって。
荒木先生の専属モデルなの。」
「...荒木先生の専属モデル...って...」
荒木一輝。28歳独身。
知的で堅苦しく、一見近寄り難い雰囲気をまとっている。
しかし授業は面白いと、女男問わず人気の美術担当の教師だ。
そんな僕も彼の授業だけはサボらず毎回出席している。
「荒木先生のイメージにピッタリなんだって、宮野ちゃんは。
宮野ちゃんも他の人とは距離を置くのに、荒木先生には懐いてるの。
それが子犬みたいで可愛いのよー。」
宮野美鈴が子犬のように、先生の後ろをヒョコヒョコついて行く様子を想像する。
...何だか面白くない。
この時の僕はまだ、何故こんな感情を抱くのか分かっていなかった。
宮野美鈴にただの興味だけでなく、恋愛感情をも抱き始めていることに気が付くのは...
もう少し先の話。
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