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「二階来たけどどうする?僕は新刊探してからBL物色してくるが」
「あー、俺はいいや。あんまりBLには関わりたく無い。腐男子とかホモと思われる」
「これが、パンピーの現実である まる
んじゃ、行ってくるわー」
それからしばらく新刊を漁り、表紙買いをし僕はふと、あるコーナーの前で立ち止まった。
エ ロ 本 コ ー ナ ー である。
その時、僕はどんな滑稽な姿であっただろうか。エロ本コーナー、いや……敬意を払い【楽園】と呼ぼうではないか。その楽園までは目測でおよそ二メートル。たったの五歩だ。五歩でそこへ辿り着けるのだが、僕には果てしなく長く感じられた。
一歩だ。一歩踏み出してしまえば決心がつく。あらゆる考えが脳を過り、駆け巡る。視点は定まらず、喉は乾いて痛みすら感じる。足は鉛の如く重く、錆び付いた歯車の様でもある。
コツンーー革靴が白い床を叩く。混沌した心情とは裏腹に、その革靴は一定のリズムを刻み楽園へと導いた。ゴクリと喉を鳴らし、スーツで覆われたその右腕がゆっくりと、しかし着実に一冊の本を手にする。
まるで産まれたばかりの我が子を抱くように、ひたすらに優しく、ひたすらにいとおしそうに表紙を求める。「あぁ……」声が漏れる。致し方あるまい。その感動は言葉に出来ないのだ。長年探し求めた一冊がこの手に収まっているのだから。
甘美な恥美な世界へ誘うその本の名は
少 年 メ イ ド ク ー ロ 君
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