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見月は俺に背を向け、風呂場へと歩き出す。
風呂場のドアを開けて、ツンとした表情でこちらに顔を向けた。
「覗いてもいいのよ?」
「覗かねえよ。さっさと入ってこい」
「はーい」
見月が風呂に入っている間にステータスを振り、入れ替わるようにして俺もシャワーを浴びた。
隣り合ったベッドへそれぞれ寝転ぶ。
「なあ」
恐らく魔法道具である照明を消し、暗くなった部屋で見月に声を掛ける。
「なに?」
「別々に行動した方が効率いいんじゃないか?」
「……どうして?」
「だってお前……見月は百発百中だろ。俺が足を引っ張ってる気がしてならない」
そう、彼女の命中率は間違いなく百パーセントである。
それはもう、天才的な精度で魔物を撃ち殺す。
これで銃を使ったのは初めてだと言うのだから紛れもなく天才だろう。
「そんなことないわ。雪がいるから私は安全なところから援護できるのだから」
「そう……なのか?」
「ええ、そうよ」
「でも、運動神経も良いだろ? キキーモラを避けたときの動きスタントマン並みだったぜ?」
「それでも当たらないとは限らないわ。それに、銃を使う以上、囲まれない、近づかれないのが最善なのよ」
「そう、か」
「そうよ。だから、そんな心配はいらないわ。それに、私が雪と一緒に戦いたいの。だから、そんなの関係無いわ」
「……ははっ、そうか。そうだな、一緒に戦おう」
「ええ、一緒に」
「それじゃ、寝ようか」
「そうね。おやすみ、雪」
「ああ、おやすみ。見月」
こうして俺はチームを結成したのだった。
あまりよく寝れなかったのは言うまでもないことだろう。
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