21人が本棚に入れています
本棚に追加
思い起こせば一年前……。
桜舞い散る入学式で、体育館のステージに上がって入学生代表の挨拶を述べる彼の、その颯爽と優美な立ち振舞いを見てからというもの……。
あたし、牛久保ミル(ぎゅうくぼミル)の心は……宗夫くんにゾッコンだった。
一年間、休み時間の度に彼の教室へと足繁く通って、でも近づくこともできずに、ただ廊下の窓にへばりついて見つめ続けた日々。
お昼休みにこっそり彼の後をつけて、宗夫くんが頼んだ学食と同じメニューを注文した毎日。
あなたの姿を見るだけで。
あなたの声を聞くだけで。
ふわふわと心が浮き立って、幸せだった。
それが、この春のクラス替えで。
あたしの祈りが天に届いたのか。
念願の宗夫くんと、同じクラスになってしまったのだ!!
もう、あたしの頭の中は、完全に一面お花畑になった。
宗夫くんとおはようの挨拶を交わしては、新しい蕾をつけて……。
宗夫くんにプリントを渡しては、何枚もの花弁を開かせた。
そして、咲いて咲いて満開になって……。
調子づいたあたしは遂に、一年間したためた想いを、彼に伝える覚悟を決めたんだ!!
…………なのに。
最初のコメントを投稿しよう!