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詳しい話の内容はこうだった。
直也さんの横領を妹が知ったのは
私に連絡してきた直前だというのだ。
それまで、直也さんは妹には隠しに隠していたようである。
会社のお金を遣い始めたのは2年くらい前から。
最初は少額だったそうだ。
営業マンは確かに数字の世界かも知れない。
個々に課せられた売り上げ目標というものがあるだろう。
直也さんは、自分の売り上げ目標を達成するために、
例えば5万円のところをお客さんが4万円ならOK
という条件を出してきた場合、その1万円の穴埋めを
自分がしていたというのだった。
はじめはその穴埋めも
自分のお小遣いから賄っていたが、
だんだんとそれも出来なくなり、
ついにはお客さんから
集金したお金に手をつけてしまったというわけだ。
そして、最初の頃は手を付けてしまったお金のことが
バレる前に、家からほど近い自分の両親のところへ
お金を借りに行っては穴埋めをし、
何事もなかったかのような
巧作をしていたらしい。
不謹慎な言い方だが、
そこら辺の知恵は回るようだ。
凡人には理解しがたい知恵の使い方だと思った。
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