第1章   相当な事実

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なんと恐ろしいことだろう。 聞いてるだけでぞっとする。 そして、更なる震えが来るような話が続いた。 実は、親御さんが実際に今住んでいるところの 土地建物が借金の抵当に入っているという。 そこまでして親御さんはお金を工面していたのだ。 逆を言えば、直也さんは親御さんに そこまでさせていたのだ。 本当に恐ろしい話ではないだろうか。 だけど、目上の方に申し訳ないが、 親御さんも親御さんではないだろうか。 どうして、たしなめなかったのか。 どうして、歯止めを効かせられなかったのか。 どうしてもそこに疑問が残る。 あらためて思う。 子どもを甘やかしてはならないのだ。 子どもがしたことは 子どもに責任を取らせなければならない。 ましてや直也さんは三十を過ぎた いわゆるいい歳をした青年なのである。 その青年がしたことの後始末を どうして親御さんが取らなければならないというのだろう。 そこには、突き放す勇気が要ったのだ。 本当に子どものことを思うなら、心を鬼にして 自分で責任を取ることを教えなければならなかったのだ。 本来なら成人するまでに 教えておかなければならなかったことを 教えることが出来ていなかったのであれば、 遅くてもいいから その時にもう一度しっかりと教え込むべきだったのである。 それが親の役目ではなかったろうか。
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