薄々は感じていたもの

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「お母さんはね、あんたのことはあまり好きではないみたいよ。 妹(今日子)のことが可愛いみたい。 そして、お父さんは隼人のことが可愛いみたいやね。 待望の男の子だから仕方ないけど、隼人には甘いもんね。 まあ、お母さんも隼人のことも可愛いみたいだけど」 ということは、だ。 私は自分の親からは 愛されていないということに他ならない。 母親からも父親からも 好かれていないということだ。 このショックはやはり大きい。 言葉通りに取れば、 妹は少なくとも母親からは愛されている、 そして弟は父親からも母親からも 愛されているということになる。 そして、私はと言えば、 祖父が目に入れても痛くないほど可愛がってくれたようだが、 それはあくまで祖父である。 一つ、飛び越えているのだ。 これが非常に大きかった。 祖父が自分のことを愛してくれたのは嬉しいし、 ありがたいのだけれど、 そこはどうしても一つ飛び越えた 祖父なのである。 父と母ではないのである。 そこに私はどうしても埋まらないものを感じていた。
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