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それはどんなに説き伏せても拉致が明かなかったので、
それで、一応、「あとのことは彩子たちに任す」
とは言われていたのだが、
とりあえず今日子と話していても収拾がつかないこのことを、
その意見を聞こうと父に電話を入れることにした。
「任す」というその言葉を信じていた私たちは、
もちろん、父も私たちの考えに賛同してくれること、
今日子を説き伏せてくれることを期待してのことだったことは
言うまでもない。
だが、そんな私たちの期待はものの見事に裏切られたのである。
父の言葉は開口一番、
「それはお前たちの方が間違ってるよ」
というものだったのである。
私は一瞬、耳を疑った。
だが、それは私の聞き間違いではなかったのである。
父はこう続けた。
「だって、それじゃあ、あまりにも今日子が可哀想すぎるじゃないか。
今日子の身にもなってやれよ」
と・・・
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