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私たちは、私たちがお金を用意することが決まってから、
父と母から「あとのことは彩子たちに任せる」と言われていた。
「だから、よろしくね、お願いね」と言われていた。
だけど、この言葉にはどうも腑に落ちないところがあったのである。
特に啓介さんはそう感じていたようだった。
「任せる」
この言葉は言葉の意味通りに解釈すれば、
彩子たちの考える通りにすればいいよ、そうしてもらっていいよ、
ということになる。
もっと言えば、「俺たちは口出ししないから」ということだ。
だけど、大下家の場合、それを額面通りには受け取れない何かがある。
それはこれまでも話してきたとおりだ。
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