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直也さんが案内したその部屋に入った私たちは改めて固唾をのんでいた。
まだ、
課長さんと部長さんはそこには来ておられなかったのである。
少しほっとしたが、
今度はまた緊張が襲ってきた。
一回ほっとして気が緩んでしまった後の再度の緊張は結構キツイ。
部屋の片隅に立ったまま、
そんなことを考えるまでもなく考えていた私だった。
大きな部屋の中の、
そこには楕円形の大きな机と重厚な黒い椅子が整然と並べられていて、
そこに三人だけがいる、
それも座ることも出来ずに、
ただ突っ立っているだけのその時間はどれだけ奇妙で複雑なものであったろうか。
その感覚はいまだに私の中から消えてはいない。
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