第1章   詳細な事実

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きっと2、 3分のことだったんだと思う。 それが妙に長く遠く感じたのだったが、 しばらくしてドアが開いた。 「どうも、 どうも」 そう言って課長さんと部長さんが入って来られた。 一気に緊張が高まる。 「まあ、 どうぞ」 部長さんが私たちに着席を勧めてくれた。 それでも私はどこに座ればいいのか、 直也さんやとお兄さんと目を合わせて確認するばかり。 お兄さんも戸惑っているようである。 もういい大人としては恥ずかしいことだが、 こんな場合の対応の仕方がわからない。 いや、 犯したことの大きさと緊張がそれをすべて吹き飛ばしていたのだ。 私たちをわからなくさせていたのだ。 私は本当に未知の世界の前に来ていたのだった。
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