私の理想

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友達は屈託なく話す。 「それにね、 今度、 お母さんと二人っきりで 温泉にも行こうかって話も出てるんだよね」 「そうなんだ、 いいね、 温泉」 そう答える私の顔はどんなだっただろうか。 私は、 「いいね、 温泉」と答えた。 友達に気付かれないように、 言葉を誤魔化したのである。 「いいね、 お母さんと二人で温泉なんて」 とは言わなかったのである。 ここには、 私の嫉妬だって隠されているのである。 私は上手くそれを隠して、 答えているのであった。
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