第1章    私という人間

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とうとう打ち明けてしまった・・・ ここまで来るのにどれほどの時間を経ただろうか。 私が必要とした時間は莫大である。 私はこのことだけは決して他人に言うまい、 悟られまいと 思って今まで生きてきた。 これだけは、 何としてでも隠し続けようと ずっとずっとそう思って生きてきた。 それが自分を守ることであった。 それが唯一、 自分が自分でいられる方法だったのである。 これまでまだ誰にも知られてはいないことで、 なんとか自分を維持出来てきたのであった。 それは、 とても狭くて卑怯な生き方かもしれないけれど、 私にはこういう生き方しかできなかったのである。 私はこうしてしか生きて来れなかったのだ。
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