第1章    私という人間

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そこに、 恥ずかしさもあった。 自分がそんな人間だと思われることの恥ずかしさ。 笑われるんじゃないか、 一蹴されるんじゃないか、 そんな怖さも恥ずかしさも私にはあったのだ。 「そんなことないと思うよ」 と言われるのが一番怖かった。 「お母さんも悪気はないと思うよ。 そんなふうには思っていないんじゃないかな、 そこまでは思っていないんじゃないかな」 「彩子の勘違いってことはない? 思い過ごしってことはないのかな?」 こう言われるのがたまらなく嫌だったのである。 それは確かにそこにあった私の思いなのだから・・・ 30数年間、 私がずっと感じ続け、 苦しみ続けてきたものなのだから・・・ それは紛れもなく私の思い。
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