沈黙という恐怖

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それに私は薫のように母と二人で遠くへ出掛けたことは 一度たりともなかった。 これも、 遠くまで出掛けることが出来なかったのである。 それは、 沈黙が怖いからだ。 遠くに出掛けるということは、 長い時間二人っきりでいるということだ。 それが私には出来ないのである。 その時間、 母と会話をしている自信がないのだ。 普通の母娘であれば、 こんなことを考えること自体 おかしなことなんだろうけれど、 私の場合は、 母と会話が途切れることが恐怖なのである。
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