第1章    突然の祖母との永遠の別れ

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祖母は2年ほど前から痴呆が始まり、 それで1年ほど前から老人ホームにお世話になっていた。 私も時間がある時には一人で訪れたり、 夫と訪れたりしたものだったが、 その時にも私をもう40年以上も前に病気で亡くなっている 自分の妹と勘違いして、 茂子と呼ぶことが多かった。 そうして、 昔話をするのである。 「茂子、 私と二人でしじみ取りに行って、 なかなか帰って来なくて 心配して探しに来た母さんに、 こっぴどく叱られたの、 覚えているかい?」 最初はそんな祖母の姿に戸惑った私も、 いつしか茂子さんになりきって、 「そんなこともあったね」 と答えていた。
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