現実の損失

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とにもかくにも、 私たちはいくら損をしたのか。 現実を目の当たりにしなければならない。 それを計算するのは怖かったが、 それは考えなくてもすぐに大体の数字がわかるものであった。 だって、 なにしろ、 今日子達が私たちにお金を返し始めて まだ半年も経ってはいないのだから・・・ それは数えればすぐにわかることである。 両の手があったら事足りるほどだ。 そう、 私たちは”これから毎月25日に10万円ずつ返していきます”、 直也さんの再就職が決まってお給料が貰え、 そうして少し落ち着いた頃、 直也さんと今日子からこう申し出があり、 それを了承していたのだった。 それがついこの前の6月のことである。 つまり、 私たちは6回分を受け取っただけなのである。 そう、 私たちが返してもらったお金はまだ60万円なのであった。
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