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私は、そんなことナイナイ!、と手のひらを扇ぐようにヒラヒラとさせて椅子を引きました。でも内心嬉しかったんです。だってそれは新入社員の目から見ても私と大島の関係はそのように映るのだと確信したからです。
でも。今思えば、それが元凶でした。
*─*─*
大島と私の部署は違いました。仕事内容も階も違っていたので大島と桜ちゃんの接点は今まで無かったと思います。同期以上恋人未満的な扱いをされて私は嬉しくて舞い上がり、入社1年目の桜ちゃんを盛り立てるべく、3人で楽しくそのランチタイムを過ごしました。それからというもの、桜ちゃんと大島と3人でランチを取るようになりました。週に1度は桜ちゃんを誘い、大島と3人でお昼を食べていました。
2ヶ月ほどした、ある日。12月です。
「桜ちゃん、上、行く?」
いつものように私は人差し指を立てて天井を指しました。社員食堂に行こうよ、というお誘いのジェスチャーです。
「いえ。今日は……」
言葉を濁す桜ちゃんも心配でしたが、私は大島と二人でランチしようとほくほくしていました。じゃあ、行ってくるね、と席を立ち、私はひとりで社員食堂に向かいました。しかし大島の姿も無かったのです。出張か会議か、それか忙しくてコンビニのランチか、私は深くは考えずにいました。ひとりで日替わりプレートを食べてオフィスに戻ると、空気が少し冷たい気がしました。どことなく、同僚たちの態度が素っ気ないのです。何か迷惑を掛けてしまったのかと午前中を思い返しましたが特に失敗をした記憶もなく、時期的にボーナス支給額のことでやっかまれていたのかと思いました。
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