妄想は、自滅なり。

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内股、一本。 頭の中で瞬時にそう考えながら、倒れたまま先輩の方を見るとドアの鍵を閉めている所だった。 そう。 鍵を。 ………………。 へぇ。 …………………いや、なんで?? ガバッと上半身を起こすと同時に、先輩がゆらりと身を翻してこちらに歩いて来る。 その表情は、さっきと同じ。 に見えなくもないけど、違うような気もする。 ていうか、もう、さ。 これ、アレだよ。 この人絶対に、薬飲んでるって。 でもって、マッチョ襲撃にもきっと遭ってる。 その上で、それらを乗り越えてここに来たんだ。 今の状況を考えれば、嫌でもそれが分かる。 いきなり道場に連れ込まれて投げ付けられ、終いには鍵を閉めての二人っきりだ。 あー…………。 どうする、コレ? 逃げれるか? 「先輩、穏便に行きましょうっていつも話してますよね?ね?」 ヘラッと笑って言ってやるも、その綺麗な顔を氷のように無表情に固めたまま、先輩が俺の前に立ちはだかる。 そんな姿はもう、威圧感が半端ない。 「盛りやがったな?」 そう聞かれても、そうです。ってサラッと言っちゃいそうなほど、恐ろしいんですけどこの人。 いやいやいや、ここで認めちゃダメでしょが。 「何のことですか?」 あくまでも白を切る。 認めたが最後、マジで殺されるかもしれねぇし。
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