第1章

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N県N市C区。 つまりは、新潟県の県庁所在地。 そこに、十子さんの職場である、新潟県庁があった。 冴木十子さん、48歳。 元々、地方公務員として市役所に勤め、市町村合併により新潟市が政令指定都市となってからは、各区役所を転々としてきた。 時には、1年単位で。 普通であれば、そんな短期間の異動はない。 しかも、本人から希望が出ていないにもかかわらずだ。 そして、48歳になった今、十子さんは県庁にいる。 所属部署は、秘書課。 それは、彼女にとって、非常に不本意な場所だ。 彼女の公務員としての理念に、著しく反している。 いや、秘書課に真面目に勤務している人たちに、よろしくない感情があるわけでも、歪んだ先入観があるわけでもない。
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