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彼の言葉にいきなり不機嫌になる瑠華。
確かに…立ち入り禁止の屋上へ来て、 身を隠すように時間の経過を待って…、
それを頻繁に繰り返していることは自分勝手な行動だと十分わかっている。
それでも、初めて会話を交わす目の前の男に、しかも彼自身も禁止されていることを棚に上げたその発言は瑠華を苛立たせた。
「別に……自分に甘くたっていいじゃない。
あんたには関係ない」
「はあ?」
知らなかったとは言え、担任教師に対しての態度とは到底思えない瑠華の口調に、彼は表情を歪ませる。
「どうせ一人で生きて行くんだから……誰も助けてなんかくれないんだから、
世の中…厳しいんだよ。自分のこと甘やかして何が悪いの?
他人なんて、どれだけ思っても裏切られるんなら、自分だけ信じてたほうがダメージ少ないし……」
遠い目をして風に舞い散る桜をただ眺める瑠華。
瞳は眩しいほど澄んでいるのに、その顔に表情はない。
「お前……寂しい奴だな…」
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