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瑠華は少し不思議な夢を見ていた。
真っ暗な闇の中で、僅かに見える光の方へ歩いていく。
そんな夢。
でも…その光の先には、手を差し伸べていてくれる誰かの影。
その人の顔がようやく明瞭に瑠華の目に映る手前で…彼女の意識は現実へと引き戻される。
「ん……」
唇に何かが触れる感覚。
その違和感に瑠華は、はっと目を開ける。
「ちょっ…と…、何?」
彼女の視界いっぱいを占めるほど近くで写るその顔に、寝起きで無防備な瑠華の心臓は跳ね上がる。
「あ、起こしたか…。悪いな…」
その言葉の意味とは裏腹に、全く悪びれる様子はないその声の持ち主に、瑠華はわかりやすく眉をひそめた。
「何か…した?」
あの感触の原因はこいつ。
瑠華ははっきりと疑いの目でその男を見た。
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