第1章

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「お待たせ致しました。ごゆっくりどうぞ。」 ふう、やっとお客さんが途切れた。 「店長、あがらせていただきます。」 「お、高岡。今日は早上がりだったか。お疲れ様。」 いつもは20時までだけど、今日は17時まで。 このあと友達とクリスマスパーティー、と言うよりは忘年会。 希美や聖華とも久しぶりに合う。卒業してバラバラに進学したけど、高校3年間ずっと一緒に過ごした仲。 街に出ると猫も杓子もクリスマス。 きらびやかな電飾とクリスマスソングの渦の中。 飲食店やショップもクリスマスセールと銘打って客を引こうとしている。 しかし、和菓子屋さんや判子屋さんまで便乗してるのはちょっと違う気がする。 集合場所は駅前の本屋。あそこで待ち合わせするのもなんか久しぶり。 あの頃は3人で遊ぶのがあたりまえの事だった。 本屋に着くと既にふたりとも来ていた。 「のん、聖華、待った?久しぶり。」 「こら、アイコ遅いぞ。」 「アイコ、元気だった?」 のんは先月頭、聖華は9月の連休に会ったけど、3人で合うのは3月末以来。 特に店は決めて無かったけど適当に居酒屋に入った。 通されたのは他のテーブルと仕切りで隔たれた、4人掛けのテーブルが2つあるスペースの、右側のテーブル。 まだ左側は空席だった。 とりあえず生ビールを頼み普通に乾杯して飲み始めた。 最初は3人の知り合いのゴシップネタから始まり、 家族やサークルとかで係わっている人の愚痴。 女3人集まったからといってコイバナばかりしているわけじゃない。 かといって全くしないまま終わる訳もなく、のんが3杯目を注文したあたりで切り出した。
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