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「ここ…痛かったり…しないの?」
布団から顔を出して優しく問えば、楽人は、はにかみながらも 「もう、平気」 と、答えた。
それが本音かどうか……わからなかったが。
「あんっ…んっ…あっ…あっ…」
宗助はペロペロとそこを舐め続けた。動物が怪我をした部分を舐めるように。罪の意識と、愛しさと、欲望と、今なにが一番強いかなんてもう自分でもわからなかった。
「宗ちゃ…あっ…やっ…もう…あっ…お願っ…お願いっ」
「もう降参? 止めるの?」
布団から顔を出し、ふう。と息をついて意地悪な質問をする。
怖いのだ。
この先が――。
だから楽人が止めると言いだしてくれたらと、思わずにはいられなかった。
「止めない。宗ちゃん、もう…意地悪しないで」
そんなことは楽人にもお見通しのようだ。
「楽人…あれ使って良い?」
宗助が視線で示した先には、ベビーオイルの瓶があった。楽人が頷くと、宗助がなんの戸惑いもなく布団から全裸で取りに行く。楽人が初めて宗助のその部分に気づき、盛大に赤くなった。
「何、照れてんだよ。昔はよく一緒に風呂入ったじゃん」
「だって…その頃は…そんな大きくなかったし…」
「こういう状態。初めて見たから?」
うん。と頷く頭をポンポンと叩き耳元にわざと小声で囁いた。
「コレが…全部入るんだぞ。いいのか?」
「良いよ」
「即答かよ」
「当たり前じゃん」
「オーケー。じゃ、布団は邪魔だから退けとくな」
反らされた首。シーツを掴む白く細い指。
(熱っつい…)
無理やりしたあの日とは、比べ物にならなかった。
とても同じ相手と同じ行為をしているとは思えないほど。
(ヤバイ…押さえが…利かない…)
「ご…めんっ…楽人…ごめっ」
長年恋焦がれた相手との行為に、楽人同様、宗助もこの上なく高ぶっていた。年に似合わず場慣れはしているものの、好きという感情には、慣れることがない。
――いつだって胸を高鳴らせ、締め付ける。
体に与えられるリアルな感触が、脳の内側から愛撫される恋という目に見えない熱のせいで、今までに味わったことのない快感と興奮となって宗助に襲いかかってくる。
体が勝手に動き、楽人を揺さぶってしまう。
元々、楽人のことになると自分が抑えられなくなる性質なのだ。
そこが諸悪の根源でもあるのだが。今の宗助にそんなことを考える余裕はなかった。
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