第一章

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とりあえず考え出したら止まらないので自分の担当のクラスの場所へと向かう。 『…おい、水元。聞こえるか』 「はい、委員長。どうしたんですか」 インカムから委員長の声が流れる。 『お前の担当のクラスに寝てる奴がいるんだが、起こしてくれないか。東雲が気づく前に』 「まじか…わかりました。」 入学式で緊張しないのか。 いきなり寝るとかすごいな。 そっとそのクラスに近づき誰が寝ているかを確認する。 (あー…すっごい爆睡してる…) しかも気持ち良さそうに。 とりあえずさっさと起こさないと恭弥が気づいてしまう。 自分の挨拶中に寝ている人がいたら彼はどういう行動をとるかわからない。 もしかしたらそんな奴は初めてだから気に入った、とか言いそうだ。 嫌な方向にしか予想ができないので急いで彼に近づこうとした時。 「おい、そこで寝てるやつ。起きろ」 恭弥のマイク越しの声がホール内に響いた。 …やっちゃったよ…。 ホール内の生徒たちは少しざわつく。 そんな中でも彼は爆睡している。 すごい神経の持ち主だ。自分だったら絶対に死にたくなるぞ。 「1-Sのクラスに座ってるやつ、起きろ」 なかなか起きないのでちょっと起こしに行かないと。 「…君。起きて」 軽く身体を揺さぶると彼はやっと顔をあげた。 「…ん、あ?あ!お前誰だよ!!俺がせっかく気持ちよく寝てるのに!!起こすなんて最低だ!!!」 …ん? 「えーっと…ごめんね?あの、会長が君を起こしたかったみたいで…」 とりあえず謝って、ステージの方を指差す。
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