第一章

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俺が指を差す方向にその子は目をゆっくりと向ける。 「だれだよ!!お前!!お前が俺を起こしたんだな!!!」 あまりの声の大きさにびっくりする。 っていうか、恭弥に対して"お前"って…やばいんじゃないの…? 「お前、じゃねぇ。生徒会長の東雲 恭弥だ」 …あ。 ざわり、と。 嫌な感じがする。 「俺の名前は菅原 光輝(すがわら こうき)だ!!光輝って呼べよな!!!」 「くくっ…あぁ。よろしくな、光輝」 ホール中に悲鳴がひびく。 きっと生徒達は生徒会長が特定の生徒を呼びすてしたことに混乱している。 生徒会長に憧れているものや、好意を抱いているものは「なんで」「どうして」と悔しそうに悲鳴をあげているだろう。 なぜ、どうして。と、俺も聞きたいよ。 恭弥が初対面の相手に対して、 笑顔を見せるなんて。 ありえないはずなのに。
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