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「やっちゃった…」
自分の寮の部屋に戻り、共通ルームに置いてあるソファに飛び込んだ。
「どしたん、水元」
個人の部屋から顔を覗かせたのは同室者の兼田凛太朗(かねだ りんたろう)だ。
「や、ちょっとね…」
「ってゆーか水元!!食堂でさ!あの転入生くんと会長がキスしたんだって!!」
「…なんで喜んでんの。つーか知ってるし…」
「やー、なんでってさぁ!ま、王道転校生君じゃないのは残念なんだけどね。その王道君寄りの転入生くんだよ!?食堂イベントじゃん!こんなの!!」
この無駄に興奮している同室者は確か、アニメオタクで腐男子で新聞部部長だ。
「その食堂イベントはお決まりなの?腐男子からしたら…」
「そう!!王道ストーリーには必要不可欠なイベントだよ!」
その無駄に高いテンションをわけてほしいくらいだ。
「あ、ねぇ。そんで水元はなんでそんなに……あ。」
「そうだよ…。その転入生くんと会長がキスしてたからだよ…」
落ち込んでいるのはそれだけではないが。
きちんと風紀委員としてその場の処理を出来なかった事も落ち込む理由にあるが、主にはキスの事だ。
「そっかぁー。水元ショックだった?どんな感じに?病んじゃう感じ?会長を殺して自分も死んじゃう?」
「…そんな目を輝かせて言うなよなー…。つーか会長は殺さないし」
そんな事するわけがない。
恭弥にはそんな酷いことはしたくない。
「冗談じゃーん。ってゆーか片思いはつらいねー。応援してるよ?」
「嘘つけ」
こいつはネタにしか思ってないだろう。
腹立つ。
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