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次の客は15分後のようだ。
徐に視線を窓の外に向けた……が、直ぐに後悔した。
「あ!今私と目が合ったかも!!」
「えー?気のせいじゃないのー?こっちを見てたのは確かみたいだけど」
「なかなか笑顔見せてくれないけどさぁ、そこがまたクールな王子様って感じでいいんだよね~」
店に入るでもなく、
外から中の様子を覗く若い女が数人、
興奮気味に声を上げた。
俺は顔には出すまいと冷静さを保つが、
どうしても眉間に皺が寄る。
そこをキュッと指先で押して引っ込めた。
(……休憩するか)
その視線から逃れるように、奥の部屋へ向かう。
「邦久。少し時間が空いたから休憩してくる」
「ん?……ああ、分かった」
外の異変に気付いたのか、邦久が苦笑いしながら頷いた。
と、その時、
カラカラン…――
と、入口の扉が開く合図の音(ネ)が鳴った。
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