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「へえ?久保くんって学生さんだったんだぁ」
「そうなんですよぉ。できれば今年国家資格取って、早く独り立ちしたいんですけどねー」
「じゃあ一番最初のお客さんに、私なってあげてもいいよ」
「本当ですか?あー、でも一人に絞るのはちょっと難しいかもしれないですね」
「あはは。さすが、モテモテだねー。ちょっと妬けちゃうかも」
客の待ち時間には、
久保が話し相手をしてくれて助かる。
俺はカットとアレンジに回り、
邦久は邦久で自分の予約客と対話している。
彼は図体デカイから最初は近寄りがたいようだが、
優しい上に面倒見がいいってギャップからすぐに客がつく。
(本当は、小言の多いお母さんみたいな奴なんだけど)
一仕事終えた俺は、
邦久とその客の横を通り過ぎ、
レジカウンターに置いてある予約リストを手に取った。
名前の上に赤線の引かれていない名前を確認する。
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