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朝ごはんを食べ終え、やることがないから部屋でゴロゴロ。
ふと漫画でも、と本棚を見たときに、視界にアルバムが映った。
生まれたばかりの私。
パパとママと、おじいちゃんとおばあちゃん。
それから…。
無意識に探す。
「あれ?この時は居ない。」
ペラペラとめくる。
この地域伝統の【初子祭り。】
私が神輿に乗せられて、泣いてる。
長(オサ)が肩車する姿もある。
「やっぱり泣いてる。」
そりゃ、そうだ。
いきなり神輿に括り付けられて揺らされるし、おっかない顔のオジサンに肩車されるし。
「ある意味、拷問?」
ふと、一枚の写真が目に止まる。
若い人に抱っこされて…目に涙は溜まっているけどニコニコしてる私。
「これ…お兄ちゃん?」
よく見ると、若い青年は晴人で、肩車してくれた長は、晴人のお父さん。
「これって…まさか?」
アルバムを手にバタバタと居間を抜けて事務所へ行く。
「パパ、これ…。」
言おうとして、やめた。
パパは隣で来客中だったから。
仕事の邪魔はできない。
クルッと向きを変えて帰ろうとした所へ晴人がちょうど戻ってきた。
「みや、どうかした?」
「う、ううん。何でもない。」
慌ててアルバムを後ろに隠す。
晴人が口を開こうとしたとき、他の従業員が入ってきた。
「みやちゃん、こんにちは。
卒業おめでとう。」
「ありがとう、コンマさん。」
「おめでとうね、みやちゃん。」
「ありがとう、イソさん。」
そのままゆっくりと入り口に向かい、外に出た。
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