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「待って、みや。」
立ち止まり、アルバムを後ろ手に振り返る。
「今から休憩だから、一緒に休憩しよう。」
「あ、でも私…。」
「聞きたいんでしょ?アルバムのこと。」
晴人に連れられて、事務所と家を繋ぐ渡り廊下の下にあるベンチに座る。
「えーと、何から聞きたい?」
みやは再びアルバムを開く。
「これ、私でしょ?
お神輿の写真は泣いてるのに、なんでこっちは笑ってるの?」
「初子祭りかあ、懐かしい。
これ、俺だよね。若いなぁ。」
ポケットから缶コーヒーを出して、プシュッと音をたてて開ける。
みやは言葉を待った。
「初子祭り…やる方は楽しいけど、赤ちゃんには拷問だよね?」
あ、同じこと考えてた。
なんか、キュンときた。
みやは驚いて晴人を見る。
「そんなにガン見するなって。
あ、これは親父。
若いよな?今に比べると。」
「変わらない…気がする。」
「俺は?」
「大人に…なったかな?」
「ははは…。
このときはまだ学生だったし。
そりゃ、みやがこんなにデッカくなってるんだから当たり前だよな。」
みやは、確かに、と頷いた。
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