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「で、何が聞きたい?
みやの聞くことなら何でも答えるよ。」
「私…お兄ちゃんとの写真だけ笑ってるんだけど…。」
「ああ、これね。」
晴人はアルバムをじっくり眺めた。
みやは黙って言葉を待つ。
「俺だけ…だったんだ。」
「え?」
「無理やり神輿に乗せてさあ、あれだけ揺らされたら泣くよな?
で、神輿を止めて、何人かが降ろそうと手を差し出した訳だ。
あのときも6人は居たな。
その中で、俺に手を差し伸べてニコッと笑ったの。」
「え、なんで?」
「そりゃ、俺が聞きたい。
乗せたり降ろしたりするのは青年の役なんだよな。
だから、そこで手を差し出されたら結婚OKなんて言われてる。」
「だから?だから結婚なの?」
「それも…ある。
親父なんて、早速お酒持って社長、みやの親父さんに挨拶に行ったし。」
「なんで…だろう?」
「なんか…通じたのかな?」
「テレパシーみたいな?」
「プッ…超能力者か、俺は。」
「違うけど。」
改めてアルバムを見る。
晴人に抱っこされて、ご機嫌な自分の写真を見て、晴人の言葉を少し信じた。
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