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「おめでとう!」
「おめでとう、みや。」
「あ、ありがと。」
誕生日…嬉しいけど、小さい時みたいに素直に喜べないのは何でだろう?
目の前には、ママが頑張った手料理の数々と、ホールのケーキ。
そのホールケーキを持参した晴人さんは私の隣に座っている。
「今年からは、晴人くんも堂々とお祝いできるな。」
「あ、ありがとうございます、社長。」
「仕事じゃないんだから、お父さんでいいよ。」
「わかりました、お父さん。」
「堂々?何が?」
みやのそんな疑問は、男ふたりの乾杯で消された。
「いままでね、ケーキは晴人くんが用意してくれてたの。
みやの好きなイチゴのケーキ。
晴人くんも一緒に、って毎年声を掛けてたんだけど、時期がくるまでは…って遠慮してたのよ。」
ママがこっそり教えてくれた。
「別に…いいのに。」
「けじめよね、彼の。」
けじめ…。
なんだかよくわからないまま、ローソクを消し、ケーキを頬ばった。
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