60人が本棚に入れています
本棚に追加
「四戸、俺が振られたのに、なんでお前が泣くの?」
「…………。」
「他に好きな人いるんだろ?
そうなら言ってくれよ。
俺も諦めがつく。」
「好きなひと…。」
みやは迷った。
気持ちは両想い。
このまま自分も告白すれば付き合える。
だけど…。
脳裏に晴人がよぎる。
「四戸…?」
「私も…好きです。
でも、お付き合い出来ないんです。」
「は?なんだよ、それ。」
「四戸、説明してよ。
そんなんじゃ意味わかんない。」
「ずっと…ずっと好きでした。
でも、事情があって…付き合えない。
今はそれしか言えない。
ごめんなさい。」
ガタンッと立ち上がると、みやは崇浩の顔を見ることなく走り出した。
『切ないよぉ…。
想いが通じたのに…。』
走りながらそう思ったら涙が止まらなくなり、階段の影で顔を隠して泣いた。
不意に後ろから肩を掴まれた。
ビクッとして振り向くと、崇浩がみやの荷物を持って息を切らせていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!